自己血採血

1、自己血輸血とは
  自己血輸血は手術の際に,あらかじめ貯えておいた自  
  分の血液を輸血する方法で,医学的に最も安全な方法
  です。
   利点: ウイルスなどの感染症の予防  
        同種免疫の予防
        免疫抑制作用の予防

   欠点: 確保量の限界
        循環動態への影響
        細菌汚染の危険性(同種輸血と同様ではあるが・・・)
        過誤輸血の危険性(同種輸血と同様ではあるが・・・)
       人手と技術・・・採血,保存,管理あるいは、希釈,回収
       式など設備の問題もある

2、他人の血液を輸血する場合の有害な点(副作用)
  同種血(他人の血液)輸血では、以下のような副作用の危険性
  があります。

1. 発熱

 2. 蕁麻疹

3. 溶血性副作用

4. 肝炎(B型、C型)

 5. エイズ

  6. GVHD

3、「自己血輸血の準備について」
  自己血輸血を行うには,前もって自分の血液を採血して
  貯えておかねばなりません。採血は日赤の献血と同じよ
  うに行いますので,1回の採血は400ml採血が上限です。
  しかし,自己血の場合は貧血がひどくならない限り,でき
  るだけ採血を繰り返し多くの血液を貯えます。

4、自己血輸血の種類
      1)貯血式自己血輸血
      あらかじめ手術の前に患者さんから血液を採血し、貯えて      
      おいて、手術の時に戻す方法で、最もよく行われる方法      です。

2)希釈式自己血輸血
 通常体の血液には余力があり、手術で麻酔がかけられて から、この余力の部分の血液を採血して貯めておき、代わ りに採血量に見合った血漿増量剤を点滴して血液を薄め ます。手術中には“薄い血液”を出血させ、輸血が必要に なったときに、手術のはじめに採血した自分の血液を輸血 する方法です。

3)術中回収式自己血輸血
 手術中に出血した血液を吸引回収し、生理食塩水で洗浄 、きれいになった赤血球を戻す方法です。ただし、短時間 に大量の血液が出血するような場合(心臓・血管系の手術 など)にしかできません。

5、自己血輸血の有利な点
  自己血輸血で使用するのは自分自身の血液ですから、同種血輸血で起こりうる、上記のような副作用はありません

6、自己血採血に伴う副作用
  採血の時には約3%に気分不快感,吐き気,冷や汗など
  の脳貧血様症状が現れ,点滴をすることもありますが,
  一時的な神経の反応によるもので,心配はありません。
  通常は頭を低くして30分程安静にしているとなおります。
  なお,貧血予防のために鉄剤を服用すると便が黒くなり
  ますが,続けて服用します。食欲不振や吐き気などが出
  た時は担当医にお知らせ下さい。自己血 を貯えておい
  ても予想をこえる出血がある場合はやむをえず人の血液
  を使用したり,また出血量が少なく使用せずに済むこと
  があります。

               自己血採血Q&A